コンテンツ制作について考える中で、「自分が見たい、読みたい、聞きたいものは何か」という問いから始めることの大切さを実感しています。そこで最初に取り組んでみたいと思ったのが、古典文学の現代語訳でした。
青空文庫との格闘
日本の古典文学に興味を持って青空文庫を開いてみると、多くの方が経験されるであろう壁にぶつかります。「読みたい作品があった、ファイルを開いてみた、しかし昔風の文章で何を言っているのか分からない」という状況です。
これまで手動で現代風に書き直すことを考えたこともありましたが、あまりにも時間がかかりすぎて現実的ではありませんでした。そこで私がしていたのは、Amazonで古典作品の現代語版を購入することでした。実際に、パブリックドメインの作品を現代語に書き直して販売している方々がいらっしゃるのです。
しかし、AIの登場によって状況は大きく変わりました。自分でも古典文学の現代語訳に挑戦できる可能性が見えてきたのです。もちろん、単純に「青空文庫のファイルを現代風にして」とAIに指示するだけでは、とてもひどいものが出てきます。
AIを使った現代語訳の課題
実際にAIでの現代語訳に取り組んでみると、想像していなかった様々な課題が出てきました。一番大きかったのは、AIにどう指示するかで結果が全く変わってしまうということです。
AIが出力した文章をチェックしながら、適切な指示を与えるプロンプトを調整していくのは、想像以上に繊細で時間のかかる作業です。しかも、長い作品は一括で扱えないため、複数のAIセッションにまたがって作業する必要があります。ここで厄介なのは、AIは同じスレッド内では一貫した出力を生成しますが、新しいスレッドになると文体が変わってしまうことです。
品質とマネタイズの両立
マネタイズを考えると、パブリックドメインになっている作品を現代語訳してAmazonなどで販売するという選択肢があります。実際にこうした取り組みをしている方々もいらっしゃいます。
ただし、現状では両極端な状況が見受けられます。一方には、自分で丁寧に手作業で書き直した、私がAmazonで購入していたような質の高い作品があります。他方には、AIに丸投げしてとてもじゃないけど読めないような文章になってしまった作品があります。私が目指しているのは、その「いいとこ取り」のような位置です。
効率化への道筋
ここで重要なのは、どこまで自動化して作業時間を短縮できるかということです。最終的に自分で読んで品質を担保する時間は避けられませんが、そこまでのプロセスをいかに効率化するかが鍵になります。
AIの初回出力がある程度の品質に達していないと、何回もリライトが必要になってしまいます。長い作品のリライトは非常にパワーのかかる作業ですから、AIにどこまでやらせられるかが勝負になります。
現在、一応の筋道は見えてきているものの、最初のアウトプットの品質をもう少し上げなければ、とても継続可能な活動にはなりません。
実践的なアプローチ
まずは短めの作品から始めて、しっかりと現代語訳し、自分でチェックして、Amazonに出版するという流れを確立しようと思います。Amazonへの出版も、形式変換や表紙作成など、手間のかかる作業が含まれますが、この部分は自動化が困難なため、自分で行う必要があります。
重要なのは、これらの作業にかけた時間を回収できるだけのマネタイズが可能かどうかです。少しでもプラスになるようであれば、継続可能なライフワークとして発展させていけるかもしれません。
これからの展開
読むコンテンツの制作を第一段階として、将来的にはYouTubeでの動画コンテンツや、ポッドキャスト形式での音声配信も視野に入れています。しかし、まずは「読む」という体験から始めて、しっかりとした基盤を築いていきたいと考えています。
自分で書くという創作活動も並行して進めていきたいところです。AIの支援があっても、やはり相当なパワーが必要な作業ですが、この取り組みを続けていくうちに、AIの性能向上とともにより効率的になっていくはずです。
古典文学の現代語訳は、過去の名作を現代の読者につなぐ架け橋となる意義ある活動だと思っています。